2011年01月20日

身上監護について(20)


自己決定できる範囲(民法第9条但書)は柔軟な解釈で



 細川さんは、「後見類型でも本人による自己決定ができるようにする方策が必要として」、次のように述べています。
 本人が自己決定できない前提で後見が構築されているとすれば、やはり問題点を感じます。見守りやケアマネジメントの中で何が本人の最善の利益なのかを協議できる場があっても良いような気がします。
そのためには、法解釈にも幅を持たせてほしいものです。


1 「後見類型では、後見人がすべての法律行為を代行決定、あるいは取り消す権利を有することから、被後見人には何ら決定権がないことになる。」
 
2 「しかしながら、これを、被後見人が自分の人生について何ら関わらせないと理解することは誤りである。」

3 「民法858条の身上配慮義務が掲げる第一には『被後見人の意思を尊重し』と明記されている。」

4 「ひとつは、軽易な行為、つまり後見類型であっても取り消せないとされている。」

5 「日常生活に関する行為(同第9条但書等)に類する行為を柔軟に解釈することで、本人意思の尊重や本人の自己決定を進展させる方向である。」

6 「福祉分野でよく話題になる、risk takingの権利や愚行権の範囲等、言い換えると『自己決定の権利』とは、そのほとんどはおそらくこの範囲に入ると考えられる。」

7 「この行為を柔軟に解釈すれば、知的障害のある人が望む自己決定権は、多いに進展することになろう。」

8 「この範囲においては、もし本人が不利益を受けてもそれは小さいし、一方で自己決定による本人の満足度は高いと思われる。」

9 「その代わり、ここでも本人に不利益が及ばないか、歯止めとしての普段の見守りが重要になってくる。」


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2011年01月18日

身上監護について(19)


後見人の権限(意思決定の代行)には歯止めも必要



 成年後見制度に関する細川さんの講義はさらに続きます。

細川さんは、「後見人の権限も本人の権利を守るため歯止めが必要」と、次のように述べています。


1 「『ケア・マネジメントを義務付ける』ことや『後見プラン』を作成することの目的のひとつは、一人の後見人の人生観だけに、本人の人生を委ねることの危険性を避けるためでもある。」
 
2 「これは、法定後見が一時的かつ部分的な委任契約ではなく、永続的かつ包括的な法的権限を持つからである。」

3 「たとえば、私たちは弁護士に事件を依頼する場合、何をどのように主張して欲しいのか、どこまで求めるのか、どのあたりで妥協するのか等について、弁護士と逐一連絡を取りながら進める。」

4 「いわば、依頼者は弁護士に指示し、その代理行為の報告を受け、自ら検証し、意見を言い、弁護士との共同作業で事件を進めていく。」

5 「しかしながら、法定後見の場合は、共同作業自体が難しいのである。」

6 「判断能力が不十分であるということは、自分の意思を自分で決定できないだけでなく、後見人の決定に対して意見を言うことにも困難がある。」

7 「この点も法定後見の問題なのである。」

8 「後見人の決定に歯止めがなければ、本人の自由を制限し、権利を侵害する恐れがあることを、心しておかなければならない。」

9 「この点で、英国の『意思能力法』(2005成立、2007施行)が、第1条6項において、『当該又は当該意思決定が行われる前に、その目的が、本人の権利及び行動の自由に対して、より一層制約の小さい方法で達せられないかを考慮すべきである。』と規定し、なお実務において適切に機能するために、細かな行動指針を出しているのが参考となろう(『イギリス2005年意思能力法・行動指針』2009民事法研究会)。」

10 「わが国の場合、9割近くが本人の制限が大きく、後見人の権限も大きい後見類型が占めていることからも、この問題も解決する方法を考えていくことが必要となろう。」

11 「後見類型の多用を防ぐために鑑定や本人面接がきちんと行われるようにすることと同時に、以下の点についても検討がされるべきであろう。」

12 「それは次のふたつである。」

13 「『どんな場合に代行による決定を認めるか』という対象の問題と、『どのように代行による決定を進めるか』、つまり決定に至るプロセス、という2つの点が問題となろう。」



親亡き後、後見人に全てを託すとした場合やはり心配なのはこの部分です。親としては信頼できる人に託すことが出来ればそれでよしとしたものですが、制度として考えた場合は、そんなことでは済まないのは当然です。
従って、後見人の権限で本人の全てが左右され、かえって本人に最善の利益がもたらされない場合だって考えられるし、その場合は、後見人の行為をチェックするシステムも必要になると思います。


すなわち、 後見人による代行行為が本人に最善の利益をもたらしているとわかることが求められる。

 その手続きとして、「本人面接」、「代行行為の対象を明確化」、「代行行為の決定プロセスを明確化」といったことが、確実に実施されることである。

 

posted by はるあき at 19:41 | 北海道 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 成年後見制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月13日

身上監護について(18)

見守りの重要性について



ここまで細川さんは、「ケアマネジメントの義務化」「後見プランの必要性」などをお話ししてくれたが、さらに、「本人が最善の利益を得るには、『後見プラン』作成後の見守りが重要」とのべています。


1 「ケア・マネジメントが有効であり、『後見プラン』作成が本人の最善の利益に適うものであるためには、協議によって決定に至ることが重要である。」
 
2 「しかしながら、ケア・マネジメントの土台となる情報収集が不十分であったり、あるいは間違っていれば、どれだけ多くのサービスが準備されていても、ケア・マネジメントは不適切なものとなる恐れがある。」

3 「そのような事態を避けるためには、十分なアセスメントが必要になるが、その際には本人の生育や現況、本人の希望、潜在的なニーズ、将来予測等、さまざまな状況をしっかり把握しておくことが必要であることは言うまでもない。」

4 「そして、一旦、後見プランが決定され実行に移された後も、本人の実態や生活環境がどのように変化するか、目が離せない。」

5 「ここで、最も重要となるのが、『見守り』である。」

6 「どのような重要な法律行為であっても、決定に至るまでの準備段階には、情報収集等さまざまな事実行為が欠かせない。」

7 「そして、後見プランの実行に当たっては、本人の判断能力が不十分なことからみて、その状況の変化を捉えるためには、見守りが欠かせない。」

8 「本人の申し出を待つことには困難があろうし、関係者の通知も重要ではあるが、福祉である以上、本人が生活している現場には足を運び、本人のQOLの状況について、さまざまな面から検証することがなにより重要である。」

9 「その際には、鋭い観察眼と感性、そして本人との信頼関係が必要であることは言うまでもない。」



 いくら理想的な『後見プラン』を作成しても、それがプランどおり実施されているかどうかを常時点検評価をしていくシステムでないと、いくら本人最大利益の追求といっても、絵に描いた餅に終わってしまうかもしれない。
 この点検作業を『見守り』という行為で確保しようと試みておられる。この「見守り」は、単に漫然と「見守る」のではなく、プランを実効ある物にするための意義のある点検作業という言い方もできるわけです。

この点について、「山形県手をつなぐ育成会のページ」掲載されているコメント(指摘)は、適切だと思います。


 
ただ、こうした形式的・理念的な考えだけでは、実質的に改善ができるわけでない。
 また、こうしたことを成年後見制度の中に法として定め、後見プランがうまく機能するシステム化が求められる。
 さらに、『見守り』という観点でいうと、後見人一人だけで限界があり、本人を取り巻く関係者たちがチームとして、本人の最善の利益に取り組むことが大切となる。
 チーム内の強力な連携・協力がなされる体制のモデルを、今後たくさん生み出すことである。
 当然、こうしたことにかかわる人たちに対する報酬をどうするかも重要である。
 関係者の単なる頑張りとか、努力に任せてなんとかできるような問題でない。
 このへんの試算がどうなっているのか。
 整備すべきことはまだまだたくさんあるというのが実感である。
  
posted by はるあき at 00:25 | 北海道 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 成年後見制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月09日

身上監護について(17)

ケア・マネジメントを義務化することで、公平性及び支援の質が担保できる。



 細川さんは、「客観的に必要な福祉が、必要とする人に届くことこそが重要」と、次のように述べています。

1 「現代は自己決定・自己責任が当然視される時代ではあるが、人は誰でも目先の利益に目が向きがちであり、情報収集や選択においても、決して純粋に自己決定しておらず、さまざまな誤った情報に誘導されがちである。」
 
2 「人ひとりの人生を考える際には単に本人が得ることができる少ない情報だけで本人が決めるのではなく、後見人がひとりで決めるのでもなく、本人や関係者が協議して実現可能な将来計画を立てる。」

3 「その上で、その実現に向かって一歩一歩皆で力を合わせることができれば、それこそが本人の最善の利益への明確なプロセスと言えよう。」

4 「人は、目先が真っ暗では進めないし、全く無目的で生きることもできないのである。」

5 「後見プラン作成に集まった関係者が、本人を中心に、その希望を尊重しつつ、一緒に目標を立てていくプロセスが明確になることは、お互いの信頼関係を築く上でも重要であろう。」

6 「そもそも福祉のように社会的公平性が求められる分野において、自己決定を貫くことには疑問がある。」

7 「本人が求めるものがニーズであり、本人が求める質・量を与えるのが福祉サービスであると言い切ることには無理がある。」

8 「福祉サービスとは、一種の再配分の社会システムであり、その中には信頼と秩序が求められるのは当然である。」

9 「ある人に対して、その福祉サービスを、ある種類と量を、公費を投じて支給することに対することが公平であるか否かについては、客観的なスクリーニングが必要であろう。」

10 「その意味でも、ケア・マネジメントを義務付けすることは、公平性を担保することになり、それは支援の質の担保にも役立つ。」

11 「これは本人の意思あるいは要望と、社会あるいは国家側の要請との調整と言い換えることもできよう。」

12 「福祉だけではないが、資源には限界がある。」

13 「客観的に必要な福祉が、必要とする人に届くことこそが重要であろう。」





 お話のとおり、福祉資源及び国家の規模、国力など社会はその時代に応じて限られた福祉資源しかもてないが、国家社会との調整あるいは綱引きによっては、その限られた福祉資源を拡大も出来るし、、あた、効果的に活用する事も出来そうです。
そのためには、本人の支援の質の保障と、社会的公平性といった納得づくのシステムが制度化されなければならないはずです。
 しかし、本人の要望、支援の質と量、それと社会的公平性の間にはつねに綱引きあるいは相反する力がぶつかり、矛盾に悩み、苦しみながらでも、妥協し、納得してシステムは動いて行くのであろうと思います。
 
posted by はるあき at 10:02 | 北海道 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 成年後見制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月08日

身上監護について(16)

後見プランの作成について



 細川さんは、「本人の最善の利益を追求していくためには、「後見プラン」が必要かつ有効」と述べています。

1 「知的障害者の身上監護にはケア・マネジメントを義務付けが必要、そしてケア・マネジメントが有効に機能するためには、決定する法的権限ある成年後見人が不可欠であるが、加えて『後見プラン』の作成が、本人の最善の利益の追求には有効である。」
 
2 「ここで、『後見プラン』とは、本人の意思や親や関係者の連携によって、本人のライフステージに合わせた課題の整理、対応策、役割分担等を、ケア・マネジメントによって決めておくことをいう。」

3 「知的障害のある人のQOLの実現は、本人にとっての最善の利益の追求であるが、『後見プラン』を作成することで、さまざまなライフステージに合わせて、さまざまな課題と目標を明確にすることができるからである。」

4 「いわば、ケア・マネジメントを、短中長期的にプラン化するものと言えよう。」

5 「後見プランを立てることは、人生の目標を明確にすることでもあり、それは本人の最善の利益を探求する第一歩であろう。」

6 「その対象は、介護や福祉の分野だけに止まらず、住まいや就労、社会参加を含めたさまざまな分野にわたり、かつトータルな人生の質を高めることを目的とする。」


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「本人の最善利益の追求」とは、なにか?
本人が、自己決定が十分可能な人の場合はともかく、知的障がい者の場合は、一体何が本人の最善の利益なのか、大変難しい。
後見プランといっても、下手をすると、本人の一生を左右することになりますから、本当に質の高いケアマネジメントと常に連携するシステムでなければならないように思います。

後見プランもケアマネジメントと同じように定期的に見直し、適切な修正を行っていく制度にしていかなければとおもいます。

 
posted by はるあき at 08:00 | 北海道 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 成年後見制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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