2011年02月09日

身上監護について(30)


本人抜きの決定ではQOLの向上はない=選挙制度




 細川さんは、「個別にサービスを組み合わせて使うことで、本人のQOL向上につながる制度の確立こそ必要」として、次のように述べています。
1 「成年後見制度をうまく機能させるためには、成年後見法と社会給付法の橋渡しが必要である(ドイツ社会保障法教授のUlrich BECKER氏)。」
 
2 「ワン・ストップで個別にサービスを組み合わせて使うことで、保護と自律の双方を伸ばし、統合することができる。」

3 「それは後見人の職務である。」

4 「個人の自己決定に委ねる場合には濫用が予想され、規制が必要となる。」

5 「最後に、老年学の立場から、どんなに判断能力が不十分であっても、人の感情は重要であり、共感をもって接することが必要であり、本人のやりたいという動機がQOLを向上させるのであり、どんなに最善と思われる決定であっても、本人抜きではQOLの向上はない(ドイツの老年学研究所長Andress KURUSE氏)ことが熱く語られ、会場は熱気に包まれた。」

6 「最終日には『横浜宣言』が出されたが、そのU、『日本の課題』の中には、後見類型からの選挙剥奪について、基本的人権を損なうものであり、撤廃すべきであることが明記された。」

7 「以上、いずれも私見と齟齬はなく、心強く感じた。」



なお、後見類型と選挙制度剥奪との関係について、見直すなど再検討を要するのではないでしょうか?
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2011年02月07日

身上監護について(29) 身上監護について(29) 身上監護について(29)


わが国が手本としたドイツの成年後見法とは




 細川さんは、「ドイツの成年後見制度利用率はわが国の10倍以上に達する」として、次のように述べています。
1 「わが国の成年後見法が手本としたドイツにおいては、130万人が利用(人口8,200万人)している一方で、わが国の利用者数は17万人(人口12,000万人)である。」
 
2 「わが国の10倍以上の制度利用率となっているドイツでも、専門職への報酬は本人負担となっているが、現実には利用者の85%の人には資力がなく、州が代わって支払っている。」

3 「それは、裁判所が決めたものについては、最終的には公的に負担することとする原則があるからである(ドイツ連邦司法省・判事のThomas MEYER氏)。」

4 「州の負担が大きくなり過ぎたことから、法改正が行われ、近年、任意後見が奨励されている。」

5 「それは、より本人の意思尊重と費用の本人負担を目指すものであり、既に30万人ほどが利用していると見られる。」




 ということで、わが国の成年後見制度は、ドイツを手本としたものということですが、聞くところに寄れば、利用する方にとっては、お金が掛かり、後見人になる方にとっては、報酬が少なく負担が多いと言うことで、この制度の利用率が、10分の1と極めて低いといいます。
国の補助や助成が無い限り、そして、制度がよりつかいやすい身上監護がしやすい制度に改善されて、本人負担といった高いハードルを取り除いていかなければ、発展しにくいような気がしますね。
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2011年02月05日

身上監護について(28) 身上監護について(28)


権利条約は各国の後見法を否定してはいない




 細川氏さんは、「支援付き意思決定がよくて代行決定はダメ、というのは誤解」として、次のように述べています。

1 「権利条約は、各国の後見法を否定してはいない(ドイツの後見法教授Volker LIPP氏)ことが明言された。」
 
2 「12条1項は平等権を、そして2項は自律の権利を規定しているが、その人の判断能力の不十分さに応じた保護が必要である。」

3 「中には意思決定できない人もおり、その人に代わって意思決定する代行決定は認められる(代行決定を認めないとの主張しているNGOもいるが、先進的なカナダにおいても、それは一部にすぎない)。」

4 「支援付き意思決定がよくて代行決定はダメ、というのは誤解である。」

5 「但し、自己決定の権利の重要さは被後見人となってからも必要であり、それは後見人の活動の指針ともなる。」

6 「12条3項は支援を受ける権利、そして4項は程度に応じた保護を受ける権利を規定しており、そこからは一人ひとりに合わせたテイラー・メイドの後見、そして支援的後見(supportive guardianship)の考えが導かれよう(以上、Volker LIPP氏)。」

7 「そして、カナダの高齢者法センターのLaura WATTS氏からは、家族や友人は後見人にもなり得るが、一方で虐待者にもなりかねない、との発言があった。」


まさに、本人の判断能力に応じてなのだが、果たしてその判断能力がどの程度なのかは、これまた難しい問題です。さらに、本人の判断能力の程度に即した支援的な後見が求められていくのも確かなことですね。当然、代行も必要になってくる場合があり、その制度もしっかりしなければならないですね。
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2011年02月03日

身上監護について(27)


成年後見法世界会議



 細川さんは、「成年後見法に関する世界的潮流がどうなっているか」について、次のように述べています。
1 「2010年10月2〜4日、横浜において成年後見法世界会議が行われた。」
 
2 「17カ国から450人が参集し、成年後見法が果たす重要な意義と役割を改めて確認した。」

3 「その場で聞いた諸外国の発表から、私が聞き取った範囲で、簡単に触れる。」

4 「世界的潮流は、本人尊重の流れから、全面的な後見を否定して限定的後見へと重心が移っている。」

5 「また法的能力の制限は最後の手段として、もっとも制限の少ない事前の代替案(least restrictive alternatives)の模索等が続いている。」

6 「代替手段として挙げられたのは、任意後見(power of attorney)等の利用により、判断能力がなくなる前に、将来の財産や身上、特に医療や尊厳死に関して意思を明示しておく(living will)、財産については信託する(personal trust)、ちょっとした決定に関しては周りの信頼できる人に援助してもらう(supported decision-making)等である(これらは、米国、英国、ドイツ等)。」

7 「しかしながら、これらの代替案を実現するに当たっては、インフラ整備等の問題とともに、どんな制度があって、どう使うか等、ゲイト・キーパー(gate keeper)の養成等が必要となる(カナダの老年学教授のRobert Gordon氏)。」

8 「なお、いずれの代替案も、判断能力が不十分になる前の方策であることから、知的障害者の利用は困難であろう。」

9 「米国の『事前同意書』は主に医療に関するもので、手術や生命維持装置を除去等、細部にわたり本人意思を明示しておくものだが、法はあってもさほど使われていない(ミズーリ大学法学部教授Devid ENIGLISH氏)。」

10 「オーストラリアにおいては、医療行為の同意権には順番が決められており、第一位は後見人、次いで配偶者、介護者、親戚や友人と続く(タスマニア後見管理委員会委員長で弁護士のAnita SMITH氏)。」

11 「ドイツにおいては、重要な医療行為について裁判所の承認を得ることになっており、これは後から家族から訴えられるのを防ぐための後見人保護の制度であるが、その利用は非常に少ない(ドイツの成年後見担当の判事Maria MAMMERILATZEL氏)。」


やはり、各国においても全面的な後見がよいか限定的後見がよいか議論は模索が続いているようですね。やはり、知的障がい者への後見制度は難しいというのが一致した見解のようですね。


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2011年02月01日

身上監護について(26)

身上監護(26)

消費者被害からどう守るか



「支援付き意思決定の過度の主張」とは、どういうことなのか

そのことについて細川さんは、「社会的弱者の立場にある知的障害者を守るためにも、成年後見制度の問題点を改善することが重要で、制度自体を壊すような議論に与しない」として、次のように述べています。
1 「そもそも判断能力があっても、私たちの自己決定とは、さまざまな情報に誘導されており、最終的に自己の望むものとかけ離れて行く場合も少なくない。」
 
2 「おそらくほとんどの消費者被害とは、強迫された結果ではなく、外見上は自己決定によるものなのである。」

3 「支援付き意思決定の過度の主張は、判断能力の不十分な人たちが多くの消費者被害にあっている現実に目をつぶることにもつながる。」

4 「そもそも現代社会は、『自由な働き方ができる(=働き方の自己決定)』として導入された労働者派遣法が、多くの人から正規雇用を奪い、働いても生活が成り立たないという。」

5 「新しい貧困層を創り出したような社会なのである。」

6 「判断能力の不十分な人というのは、このような社会で生きざるを得ない弱者である。」

7 「知的障害者にとって、権利擁護を担ってくれる後見人を身近に持つことは、重要な権利なのである。」

8 「自分は自己決定できるから誰でもできるはず、あるいはしなければならない、と部外者がアレコレいうことは不見識であろう。」

9 「同じ障害者の仲間として、ぜひとも良識ある判断と発言をお願いしたい。」

10 「確かに、成年後見制度自体に問題がいろいろあることも事実である。」

11 「しかしながら、問題点は改善すればよいのであって、制度自体を壊すという結論を導くことは暴論である。」


たしかにあの時代、小泉首相の時代に「自己決定」「自己責任」という言葉が闊歩し、「自己決定」したものは、「自己責任」であるから国からの保護に値しない、という社会的風潮がありましたが、知的障がい者の自己決定にこの議論は持ち込んで欲しくないと思います。


 
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